効率的なデータ管理に基づいた顧客体験の追及。「採用成果2倍」「解約率10%改善」を創出したSuccessHubの顧客管理

概要

株式会社YOUTRUSTは、キャリアSNS「YOUTRUST」を提供しています。友人・知人とのつながりのほか、コミュニティへの参加を通じてネットワークを広げることでキャリアの可能性を切り拓くプラットフォームです。

スタートアップから大手企業まで幅広い顧客層に対し、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を図るために、SuccessHubを導入しました。導入までの背景と得られた成果について、取締役CSOの金子彰洋様、キャリア事業部副部長の吉野樹様にお聞きしました。


既存顧客へのアプローチは「CS」から「CX」へ

ーはじめに貴社の事業概要とカスタマーサクセスに関する社内の体制を教えてください。

金子様(以下、敬称略):YOUTRUSTは、HRTech領域でネットワークリクルーティングを提供し、ダイレクトスカウト・カジュアル面談・メンバー募集・リファラル採用などができるサービスです。顧客はスタートアップから大手企業まで幅広く、採用によるビジネスの加速はもちろんのこと、ユーザー様にとっても新たなキャリア機会を創出しています。

吉野様(以下、敬称略):CXチームは私を含めて約10名で、自分たちの組織をカスタマーサクセスではなく「カスタマーエクスペリエンス(CX)」と呼んでいます。一般的にCSは、契約更新率や既存顧客からの売上増といった指標が重視されるのに対し、私たちは顧客の体験全体を重視したいと考えています。

ー一般的なカスタマーサクセスに求められる役割とは少し異なるのですね。

金子:HR業界、特に採用サービスの特性上、契約期間が短く、顧客の利用パターンが非常に流動的だという特徴があります。したがって一般的なSaaSとは、カスタマーサクセスとセールスの概念が異なり、ハイブリッドな役割が求められると考えています。
通常ならチャーンレート(解約率)に注目しますが、弊社の場合は顧客企業の必要な時期にのみ利用が集中する傾向にあります。なので一度利用を辞めたとしても、数か月後には再開されるパターンが多いですね。だからこそ、利用期間中に早く成果を出していただくことを重視してきました。

スプレッドシート管理の限界とヘルススコアの見直し

ーSuccessHubを導入する前はどのように顧客の情報を管理していたのでしょうか。

吉野:主にスプレッドシートを使っていました。独自に算出したヘルススコアを元に活用率が低い顧客は自動的に検出される表示されるようにしていましたが、緊急性や重要性がどの程度高いのかまでは一目で判別できず、非効率な状況に陥っていました。その結果、顧客の状態をリアルタイムで正確に把握できないために対応は迅速性に欠け、顧客状態に合わせた的確なアクションを取ることができませんでした。また個々の担当者がスコアを見てアクションを考えるため、対応の質にもばらつきが生じていました。
同時にヘルススコアの信ぴょう性についても検討する必要性を感じていました。当時のヘルススコアは非常に複雑な構造で、サービスにログインしている頻度やスカウト、リクルーターの数、募集の有無など、多岐にわたる項目を見ていました。

金子:管理する私から見ても、複雑すぎて健全に機能しているとは思えませんでした。本来、売上などビジネスの成果に直結する指標は、それほど複雑な要因であるはずがないと思っていますので、改めて議論してシンプルな指標を定めることに決めました。それが、スカウト送信数と、その返信率というわずか2点です。シンプルに「効果的に活用されているか」だけに注目するようルールを変更しました。

ーその後、SuccessHubを導入した決め手についてお聞かせください。

吉野:以前からSuccessHubの存在は気になっていました。しかし、社内で「新たにシステムを導入したとしてもチェックすべき項目が定まっていなければ、成果向上が期待できない」という意見があったので、先述したヘルススコアの再定義を先に行いました。
初めて提案を受けた時点で、顧客一覧の可視性や操作性がスプレッドシートより優れていることは明らかでしたので、これまでの課題は解決できるだろうと感じました。それ以上に決め手となったのは、顧客とのコミュニケーションが円滑に取れる機能が備わっていたことです。従来、各メンバーがSlackで手作業で行っていた業務を自動化できれば、これまで叶わなかったスピーディな対応ができると確信しました。また、CXチームが全員一致で「導入したい」と言えるようになったことは大きかったと思います。

金子:スプレッドシートの運用が限界を迎えていることはもちろん理解していました。それに吉野を筆頭に信頼しているメンバーたちの「どうしても必要」という言葉を信用し、検討時間をかけることなく導入を了承しました。組織全体がCXチームを重要視しているからこそ、すぐに導入を進めることができました。

吉野:他のサービスの検討ももちろん行いましたが、弊社のようなスタートアップに向けたサービスはほとんどなく、海外製のものは予算的にもあわなかったですね。

ー導入にあたっての不安、それを解消するためのSuccessHubのサポートについてはいかがでしたか。

吉野:導入時から複数の担当者がついてくださり、Slackでのやり取りもスムーズだったので、特に不安は感じていませんでした。定期的なミーティングや、些細な疑問にもすぐに返答してくださるので、スムーズなコミュニケーションに助けられています。

オンボーディング期間半減、採用成果は約2倍へ変化

ーSuccessHub導入の具体的な成果についても教えていただけますか。

吉野:まず、オンボーディング期間が短縮できるようになりました。以前は60日を目標としていたものが、現在は半分の30日を基準としています。測定期間は半分になったにもかかわらず、スカウト送信数が1.5倍に増加したことは、顕著な成果です。SuccessHubを通じて、顧客の状況をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで効果的なサポートを提供できるようになったからだと考えています。
顧客のスカウト送信数などを週ごとに比較ができる機能は特に重宝しています。週単位で顧客からのアクション数をチェックできることは、次の作戦を立てるうえでも非常に大きいです。

金子:成果としては、CXチームが事業全体の売上に明確に貢献できるようになったことがあげられます。以前は「あるといいな」程度の内容だったアップセルを含むオプションの提案が、顧客ニーズに合わせてカスタマイズできるようになったことで、具体的な売上の実績として積み上がりました。これによりCXチームの熟練度が向上し、数字を根拠にした会話が可能になったことで、単なる売上目標の追求だけでなく、顧客に価値を提供する提案ができるようになりました。これは結果的に売上に直接結びつくアクションを増加させ、増収増益につながりました。CXチームはアップセルを単なる売上拡大の手段ではなく、顧客の成果に基づいた提案として捉えることで、持続的な成長を実感できるようになりました。

吉野:顧客に価値を提供する提案ができるようになったというのは、採用成果が全体で約2倍に増加したという事実が物語っていると思いますし、顧客満足度の向上にも、チーム内の自信にもつながっていると感じています。
結果として予想していた以上にアップセルにつながったのは、個々の担当者の感覚や経験に頼らず、全員がSuccessHubの画面を見ながら、数字に基づいた具体的な議論ができるようになったことが大きな要因だと言えます。具体的には、以前は場当たり的だった対応を見直し、更新時期の把握をした上で適切なアプローチとタイミングのルールを統一できたことにより、全員で一貫した対応が可能になりました。その結果、適切な提案が実現し、約10%の更新率の改善につながっています。
また、スカウト消費率をタイムリーに把握することで、利用傾向を把握し、採用強化のタイミングで追加提案ができるようになり、結果として追加購入が増加し、アップセル金額が10倍にもなりました。さらに予算の動向を見て、採用広告の出稿といったクロスセルの提案にもつなげられています。

ー今後のSuccessHubに向けた期待もお聞かせください。

金子:サービスを更新するタイミングで「更新してください」と言ってももう遅いので、できるだけ早期にサービスの価値を実感してもらうことが勝負です。SuccessHubの機能を活かして先回りした提案を継続したいと思っています。今後は、私たちが日頃から注目している数字を先回りして自動的にチェックして、アクションを提案してくれるなどさらなる進化にも期待しています。

吉野:組織によってCSのKPIはさまざまだと思いますが、あれもこれも追うのではなく、会社として最も重視する方針を決めることが重要だと改めて感じました。SuccessHubを導入するとやるべきことがシンプルになり、成果を得やすいはずだと思います。

ー事業拡大に直結する指標を見極め、SuccessHubで指標のチェックを効率的に行ったことが成果に結びついたとのこと、大変うれしく思います。今日は貴重なお話をありがとうございました。

Previous
Previous

アクション数2倍で成果も倍増。500社以上を支えるカスタマーサクセスの新たな挑戦